自由民主党青年局は2022年6月5日、同党としては初の取り組みとなる「メタバース演説会」を開催した。広報本部長の河野太郎氏やデジタル大臣で前青年局長の牧島かれん氏、青年局長の小倉將信氏が、クラスターのメタバースプラットフォーム「Cluster」上にある専用の仮想空間にアバターとなって登壇。同党によると、のべ1000人近くが参加したという(同時接続数はシステム上の制限で500に設定)。
弁士の1人として登壇した河野氏は配信会場でVRゴーグル「HTC VIVE Pro」を装着し、センサーを両手に持ち、操作感を試した後、仮想空間上にあつらえた演台に軽々と飛び乗った。観衆に向かって身ぶり手ぶりを交えながら普段と変わらぬ様子で演説し、ときには参加者に「ジャンプしよう」などメタバースならではのアクションを呼びかけていた。
こうして約10分間のメタバース演説会を終えた河野氏はVRゴーグルを外して開口一番に「面白かった」と感想を述べ、「これで全国に行けるし、全国から来てもらえる。政策の説明にも十分使えると思う」と新たな政治活動の手段として手応えを感じていた。
同じくメタバースのアバター弁士として登壇した牧島氏は記者団からの質問に答える形で自身の思いを次のように述べた。「(大臣を務める)デジタル庁は霞ヶ関の中では最先端を行く、新しいことに挑戦する組織。(前の局長として)ずっと関わってきた青年局のメタバースやNFT(非代替性トークン)、Web3にかけるマインドや思いは同じ。今回、メタバース演説会に参加して、多くの方から大変身近なあたたかいエールをもらえて勇気づけられた」(牧島氏)。
今後について問われた小倉氏は「選挙運動にはぜひメタバースを使っていきたい。ただFacebookやTwitter、YouTubeは既に選挙運動として一般化しているが、メタバースは何分、初めての取り組み。どう選挙運動につなげていけばいいのかという点と、実際に公職選挙法などの法律に抵触しない形でメタバース上の運動ができるのかを研究する必要がある。そういった点を積み上げていって、メタバース上の政治活動を広げていきたい」と意欲を示した。